刘 晓波(劉暁波)氏にノーベル平和賞。中国での報道は?

 刘 晓波氏のノーベル平和賞受賞が、中国でどう報じられているのか、中国のサイトをいくつかあたってみました。
 
●Yahoo中国

  「刘 晓波」でヒットする内容は数件ありますが、すべて別人のものです。
 まったく別件ですが、「フッ素加工の鍋が、がんを引き起こす」などという懐かしいニュースも出てきます。


●新浪 sina.com

 こちらは、「刘 晓波」という言葉自体が完全にブロックされています。
「関連法規の規定と政策により、検索結果は表示されません」という表示が出ます。



百度 baidu.com

 こちらには、いくつか検索結果が表示されました。
 多くは、フランスやアメリカの外信を紹介したものです。
 中国国内での報道は、「外交部が、刘 晓波氏へのノーベル賞賦与は、ノーベル平和賞への冒涜であると発言した」というニュースのみです。



上記のニュースは「東方TV」のニュースでも見ることができます。

ニュース映像へのリンクはこちら↓
http://news.qq.com/a/20101008/001946.htm


●南方網 southcn.com

 こちらでは珍しく、外交部の公式発表以外に独自の論評記事がありました。
 ノーベル平和賞を刘 晓波氏に賦与したのは、世界的に話題性のある内容でノーベル賞の存在に注目を集めることにより、スウェーデンノルウェーという国の知名度を高め、旅行や留学、投資を促進するのが目的であり、そのためには、受賞者への賞金など小さい投資だ、という分析です。



  確かに、「ノーベル平和賞」の受賞者選択には、多分に政治的なものを感じますし、西側欧米国家の「自分達の価値観は絶対正しい」といういつもの頑迷なスタンスも強く感じます。

 中国にとって見ると、穏健・改革路線を進もうとする胡錦濤主席・温家宝首相にとっては、この問題は、尖閣問題に次ぐ外難であることは確かです。この問題で強硬な立場をとらない限り、対外強硬保守派に格好の巻き返しの機会を与え、足元がすくわれることになります。よって、中国政府は、この件に関して、あくまで強硬な態度を崩すことはないでしょう。

 中国での徹底した報道規制を見ると、中国は日本と違い言論の自由がない国だ、と思う人が多いでしょう。また、劉暁波が反政府活動によって投獄されていることから、中国には発言の自由や独立した司法もない、と思われることでしょう。
 しかし、前のブログで紹介したとおり、昨今は日本の言論も、渋谷での尖閣反対デモがまったく報道されないように、政府によって強力にコントロールされているのです。さらに検察が、中国船の船長を政治的に釈放したように、司法も政府に隷属しているのです。
 この機会に「ひとのふり見てわがふり直せ」と思わねばならないでしょう。