ピエール=イヴ・ドンゼ著 「ラグジュアリー産業」を読む

最近読んだ本。「ラグジュアリー産業」。

 


日本では自動車や家電業界についての分析は多いものの、「ラグジュアリー」という業界がハイライトされることは少ないと思います。
この本を読んで、フランスにおけるコングロマリット企業の急成長や、地域別のビジネスの特徴など、ラグジュアリーブランドのビジネスの全体像を初めて知ることができました。
僕としては、ビジネスの近さという点で、チラッと出てくるフォルクスワーゲングループにおけるアウディの例など「工業グループ」の動きに興味を持ちました。

家電業界は、今までTVのビジネスが典型だったように、技術革新や性能の向上をベースに、いち早く商品を開発し、それをマス顧客をターゲットに早く大量に売り切るという、「規模の経済」と「スピード」が価値の源泉となる高度成長期時代の大量生産・大量消費・大量廃棄ビジネスに最適化してきたのですが、主要市場ではすでにそのビジネスモデルはかつてのような価値を失っており、多くのプレーヤーは次のビジネスモデルを模索し、試行錯誤をしています。
このラグジュアリー産業における価値のつくり方はビジネスモデルの変革において大きな示唆を含んでいると思います。

ラグジュアリー産業においては欧州の生活様式・文化をベースにした欧州ブランドが圧倒的な優位性を持っていますが、この世界で果たして日本のブランドが存在感を出し、ビジネスを確立することができ得るのか。これは残りのビジネス人生で是非挑戦したいテーマだな、と思っている今日この頃です。