金正南氏は反体制派か?

 
 最近、金正恩氏が、TVに登場していますが、髪型や服装といい、おじいさんの金日成の生き写しのようです。おそらく、金正恩氏の後継者としての正当性を感じさせるために、あえてそういうイメージを作っているのでしょう。


 その一方で、今日のニュースで、長男の金正南氏が北京でインタビューに答えているのを見ました。
 びっくりしたのは、金正南氏が北朝鮮のことを「北韓」(プッカン)という韓国側の使う言葉で表現したことです。これは北朝鮮側の人にとってはありえない事です。「北韓」というのは韓国側の表現であり、北朝鮮側では、「北朝鮮」という表現が使われます。反対に、韓国では「北朝鮮」という言葉は禁句であり、北朝鮮でも「北韓」という言葉はなじみがありません。
 さらに、金正南氏は、北朝鮮の親子3代の世襲体制に対して、個人的に反対である、と明確に答えていました。

 今回、海外のメディアに対して、あえて「北韓」という言葉を使い、世襲体制を批判したということは、金正南氏は、すでに現在の北朝鮮体制では明らかに居場所がなく、国に帰れる可能性も無くなり、韓国や西側諸国側についてやっていかねばならないという「覚悟」が表れているのでしょう。

 ちなみに、金正南氏へのインタビューを聞いていると、インタビュアーが、北朝鮮的ななまりがあったのに対し(おそらく中国東北部朝鮮族の人)、金正南氏の朝鮮語には北朝鮮なまりは感じられず、ソウルの人のように自然に聞こえました。金正南氏は多くの言語が話せるそうですから、さまざまな人とのつきあいあがあり、朝鮮語も韓国標準語化してきているのか、あるいは、南の人々を意識してわざとそういう話し方をしているのか。


 金正南氏は、2001年に日本に遊びに来て空港でつかまったときには、なんとふてぶてしい奴だと思いましたが、最近はなんとなく愛すべき人物に見えます。