経済産業省「産業構造ビジョン」発表

 経済産業省が、「産業構造ビジョン」を発表しました。
 以下に共同通信の記事を引用します。

 経済産業省は18日の産業構造審議会の部会に、日本の産業の将来像を示す「産業構造ビジョン」の骨子案を提示した。企業の国際競争力を高めるため、現在は約40%の法人税の実効税率について「5%程度の引き下げ」を提言。経産省は6月初めにビジョンをとりまとめ、企業の税負担軽減を含めた内容を、政府全体の成長戦略に反映させることを目指す。
 経産省は来年度税制改正での税率引き下げの実現に向け、財務省に働き掛ける方針。骨子案は法人税の実効税率について将来的には「国際的水準(25〜30%)を目指す」と明記した。
 骨子案は自動車や電機に頼った従来の産業構造の姿を「一本足打法」と表現。今後は、新たな戦略産業に取り組むことが重要になると指摘した。具体的には(1)原子力や鉄道などインフラ産業(2)次世代エネルギー(3)医療や介護、健康、子育てサービス(4)ファッションなど文化産業(5)ロボットなど先端分野―を挙げた。


 法人税引き下げなど、かなりインパクトのある内容もぶちあげていたにもかかわらず、鳩山首相退任のニュースに押されてしまい、マスコミではあまり注意が払われることがなかったようです。私も、今日の日経新聞の特集記事を見て初めて気がついた次第です。

 ビジョン策定の主体であった産業構造審議会 産業競争力部会のメンバーを見ますと、日本を代表する主要企業の社長や著名な学者が並び、オールスターメンバーがそろった感じです。 
 内容を見ると、まずきわめて率直に現状課題を認識しています。
 われわれ現場で苦戦しているものたちが抱えている強い危機感と閉塞感が、ほぼそのまま認識されているといってよいでしょう。「技術で勝って、事業で負ける」など、危機を招いている原因に対する分析も、妥当な内容だと思います。その強い危機感が、法人税引き下げなどの具体的なインパクトのある政策の提案につながっていると思われます。

http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/index.html


 課題は、果たしてこれを実行できるのか、にあるのでしょう。
 日本という国の競争力が恐ろしいスピードで低下し続けているという事実があり、その原因もほぼ明確になってきている。その対策のアイデアもまとまってきている。それでもなんら手が打てないのであれば、日本の政治体制は根本的な問題を抱えていると言わざるをえないでしょう。