渋谷での尖閣デモは、なぜ日本のメディアでは報道されないのか?

 10月2日、3日と、渋谷では、尖閣問題に反対する大規模なデモが行われているそうですが、今のところ、日本のマスメディアではまったく報道されていません。
 報道されているのは、CNNなどの外国メディアと、ブログなどです。WEBでも、大手サイトのニュースでは報道していません。

http://edition.cnn.com/2010/WORLD/asiapcf/10/02/japan.anti.china.protest/index.html


 
 なぜ日本のメディアでは報道されないのか? 
理由として考えられそうなのは、

1)中国との関係を考慮した政府の圧力

 反中デモの報道によって、中国の対応が硬化し、フジタ社員の釈放などの懸案の解決が遅れることを恐れる。よって、日本での報道を押さえ、日本政府は、中国との関係を良化させようとしいている、という態度を発信する。

 〜 この可能性は高そうです。


2)国内政治を考慮した政府の圧力 
 デモは、「反中」と言いながらも、実はイコール「反民主党」であるため、民主党政権が圧力をかけている。

 〜 今までも反政権の活動は報道されていますから、これはないでしょう。


3)中国政府の(潜在的)圧力

 中国に特派員を出している日本のマスコミ各社が、中国での取材活動への規制や、特派員の退去を受けることを恐れ、自主的に報道を行わない。

 〜 尖閣問題について、日本のマスコミは、どちらかと言うと、日本の国民をあおるような報道を好んで行ってきました。よって、この件のみを報道しないのはおかしい。渋谷での大規模デモは、視聴率を稼げる恰好のニュースであり、過去の流れから言うと、大々的に報道するはずです。



 こう考えると、1)の可能性が高そうです。

 しかし、これでは中国の報道統制と同じレベルでしょう。

 日本では、中国のことを、報道の自由がないと批判することが多いのですが、中国でも、昨今では、人民日報や解放日報、環球時報などの昔からの公式メディア以外に、WEB上のメディアが台頭し、金儲け主義オンリーの大衆迎合型の面白おかしい報道を繰り広げるようになっています。
 むしろ日本においてこそ、戦前に朝日新聞などのマスコミがアメリカとの戦争をたきつけたように、明確な指導を受けなくとも全体の雰囲気として意見がまとまりやすい傾向があり、より危険と言えそうです。


 ここまで露骨に報道が規制されてしまうという事実、尖閣問題で検察が「政治的に」船長を釈放した事実、を見ると、法治国家で自由な国だと思われていた日本というものが、幻想であった、ということがわかってきます。
 日本も中国も、政治が司法や言論に介入する、という点では同類だったのでしょうか。