「ブルー・オーシャン戦略」W・チャン・キム+レネ・モボルニュ著 (続)

 「ブルー・オーシャン戦略」については、まだまだ書いておきたい内容があるので、続編です。「なるほど」と思った部分をピックアップしてみます。


○戦略論は、レッドオーシャンでの競争を何よりも重視してきた。企業戦略は兵法に根ざしていている。・・・・
 戦略とは、一定の限られた土地をめぐって敵と向かい合うことを意味する。 ところが、ビジネスの世界では戦争とは事情が違い、市場領域は決して一定 ではないと分かる。
 「領土が限られているため、敵を打ち負かさないと繁栄できない」という、 戦争を引き起こす制約条件を受け入れて、競争のない新しい市場空間を創造 できるという産業界の強みを否定してしまうのである。
 

 面白い視点です。もともと、戦争=レッドオーシャンの戦いなので、「戦略論」というもの自体が、発想に枠をはめてしまい、自らをレッドオーシャンの血みどろの戦いに引きずりこんでしまう宿命を持っているわけですね。


○顧客調査を徹底すればブルーオーシャンを開けるかというと、それも違う。顧客が競争のない市場空間を作り方を知っていることはまずない。

 そのとおり!


○多くの企業は、既存顧客をつなぎとめ、セグメンテーションによる事業機会をさらにつかもうとの戦略を選ぶ。この方法は、既存の市場空間でシェアを伸ばすには適しているかもしれないが、市場のパイを広げるわけでも、新しい需要を生み出すわけでもない。
 市場のセグメンテーションとポジショニングは戦略のスタートだと、勉強してきたのだが。。
 「レッドオーシャン」での競争優位戦略をなんとか理解して実践しようとしてきたところで、それをがらっと否定されてしまうわけです。


○「投資に見合った市場シェアや利益率を得ているかどうか」がノーであれば、顧客に奉仕しすぎている、つまり買い手の価値につながる要素を必要以上に提供している、とみなしたほうがいいだろう。
 商品に余計な要素を増やすのはやさしいが、取り除くのは難しい。


○業界の競争要因にどのような呼称を充てているだろうか。
「メガヘルツ」と「振動数」、「水温」と「温かい湯」、買い手が理解し、評価してくれそうな言葉を使っているだろうか。戦略キャンバスをどういった言葉や表現で埋めているかを見れば、その企業の戦略ビジョンが「内向き」「外向き」どちらの発想に基づいているか、想像がつく。

 身につまされる話です。