経営戦略に関する教科書は多いですが、今まで読んだ本の中では、この本が一番わかりやすかったと思います。
単なるフレームワークの説明ではなく、その考え方を、どのタイミングで使うべきなのか、どのように誤解されやすいのか、正しく使えていない例ではどうなるのか、など、実際にそれを使って仕事をしなければならない経営戦略担当者の立場にたった説明がなされています。
例えば、
・「ポーターの基本戦略」における「コストリーダーシップ」と、「低価格戦略」は同じことなのか?
・「差別化」と「集中」も特定市場をターゲットにしているように見えるが、何が違うのか?
・「コストリーダーシップ」と「差別化」は両立できないのか?
・「ポーターの基本戦略」と「コトラーの競争上の4つの地位」という二つの戦略パターンは、いったいどういう関係になるのだろう?
・「バリューチェーン分析」で何を明らかに出来るのだろう?どのタイミングで使えばいいのだろう?
こうした経営戦略のABCは、今まで本などでたびたび見ていて、ふーんと、わかったつもりになっていたのですが、この本を読んで、いかに一知半解であったのかがよくわかりました。
本の分量もあまり多くなく、軽く読めるのも良い点です。
私も(他のサラリーマンの方もそうだと思いますが)日常、分厚い経営書を読む時間・気力はありません。週末に読もうと思っても、数ページも読めば眠くなってしまい、そのまま昼寝、というパターンとなります。
思い起こせば数年前、中小企業診断士試験の勉強のため、財務を勉強しようと思った際、いろいろ本を読んでもさっぱり財務的な考え方・コンセプトが理解できませんでした。最初にコンセプトが把握できたのは、「ざっくり分かるファイナンス」石野雄一著、という新書を読んでからです。
財務に関しては、この「ざっくり分かるファイナンス」が、私にとって、入門書としてのバイブルなのですが、経営戦略に関しては、この「フレームワークを使いこなすための50問」がバイブルになるでしょう。
この本を読むと、自分でも経営戦略を推進できそうな気がしてきます。
日本企業の経営戦略を機能させ、強い日本企業をつくろう、とする著者の思いが強く伝わってくる本です。
- 作者: 牧田幸裕
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2009/12/11
- メディア: 単行本
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