ドイツ人は相手の年齢を気にしないのか?

今日は、仕事でドイツ人と接して感じることのひとつを紹介します。

 相手の年齢を聞くと、不思議に思われるらしい、ということです。

 日本人の感覚では、まず相手の年齢を把握しないと、相手との関係がはっきりせず落ち着かない。年齢をベースに、人と人の関係のバランスが構築されているので、その体系の中に相手を落とし込まないと、どういう態度で接したらいいのかわからない。
 昔に比べれば、こうした関係はかなりフラットになってきているのでしょうが、日本では、まだ年齢が相手との位置関係を決めるベースになっていると思います。

 韓国では、もっと明確で、初対面ですぐ年齢を聞かれることも多いと思います(男女問わず)。年上の場合、敬語を使われ、それなりの対応を受けることになるでしょうし、年下の場合、その反対となるでしょう。と言っても、別に年上が威張る、というわけではなく、年上は年上らしく責任ある行動をとることが期待されているわけで、飲み代を払うのは年上の義務とみなされるでしょう。

 ところが、ドイツではそうではないらしく、まず相手の年齢を聞くと、どうして年齢を聞くのか理解できないとなるようです。特に女性の年齢は互いにわかっていない場合も多いよう。
それでは、いったい人と人との関係はどうやってバランスがとられているのか、というと、そこが日本人にはピンと来ない。仕事関係では、上司部下関係というのがあるとしても、それ以外の社会生活では、そうした関係が存在しないので、完全にフラット、ということになる。

 完全にフラットな社会と言うのは、それはそれで何が問題?と言われそうですが、日本の社会で、本当にフラットな関係と言うのは少ないと思います。基本的に上下関係があると落ち着いて安定し、横に並ぶと、途端に不安定になるのが日本社会ではないでしょうか?少なくとも私はそう感じています。


 これが端的に現れているのが、サービス業における「お客様」と「お店」の関係かも知れません。

 普通の日本人は「お客様」になった瞬間に、あたかも「神様」となり、「お店」に対して、絶対的に上位にたった態度をとることがよくあります。そういう態度をとらずとも、「お客様」なのだから、無理を言うのは当たり前、「お店」は無理をしてでも精一杯対応するのが望ましい、という感覚はみな持っていると思います。
 もともとフラットな関係だった個人と個人が、「お客」と「お店」の関係になった途端、そこに厳しい身分社会が出現する。
 この異常なまでの「お客様」「お店」間の上下関係は、百貨店から飲食店まで日本のサービス業を特異に進化させてきたことと思います。

 一方で欧州のサービス業を考えると、基本的に「お客様」と「お店」間の関係はフラットなようです。お店はサービスを提供するが、彼らが対応できないことは仕方が無い、お客様もあっさりとあきらめる。売り手が基本的に提供するサービス以外、お客は、完璧な対応など期待してもいない。日本での、「お客様」「お店」の関係が、お店側にとって非常に緊張感を強いられるのに対して、欧米では、フランクで、1対1のフラットな人間の関係になっている。(ここでは高級ホテルなどの特殊な例は考えず、街のお店を想定してください)
 こうした社会だから、サービス業は、オペレーションの合理化によるコストダウン勝負の競争となり、お客様はサービス業に頼らずなんでも自分で解決しようとするDIY社会となっていくのでしょう。

 欧州の、こうしたフラットな社会は、非常に気楽で、フランクで、うらやましく思えます。
 ですが一方で、日本で生まれ育って、韓国のパキパキとした上下関係を気持ち良く考えてきた私にとっては、何か落ちつかなく、不安を感じてしまうのです。