日本企業におけるかつての強みであった「カイゼン」志向が、現在では昔ほどの強みにはなっていないのではないか、むしろ「カイゼン」に邁進しているうちに、周りの世界がひっくり返っているのではないか、ということを何度か書いてきました。
今週号の「日経ビジネス」では、まさに同じテーマの特集記事が出ています。
長い時間をかけ、一歩一歩、改善活動を積み重ねることが強さの秘訣とされてきたモノ作りの現場は、劇的な変化に翻弄された。窮地を抜け出すには、常識を脱した改革が必要だ。・・・・・
この危機をバネにするには、「カイゼン」を一度、壊すしかない。
との前書きを見ると、どんなすごい事例が紹介されているのか、と期待してしまいます。
ですが、残念ながらそこに書かれていたのは、今までの同様の「カイゼン」の事例ばかりでした。
紹介されているのは、
・パナソニックにおける、徹底した原価削減活動である「イタコナ」
・NECエレクトロニクスにおける、社内のベストプラクティスを使い倒す「インターナルベンチマーキング」
・アイリスオーヤマにおける、1万4千アイテムの単品原価管理
・東レにおける、ジャストインタイムよりコストを優先する、物流部門主体のトータルコスト削減への取組み、
これらは、工場、あるいは一つの部署における、個別の「カイゼン」活動を基準にしてみると、進化と言えるのでしょうが、破壊とまでは言えないと思います。
原価をこれ以上分解できない素材のレベルまで落とし込んで突き詰める、製造原価から小売価格までのトータルコストの視点からを最適なオペレーションを突き詰める。これらは、「カイゼン」の破壊どころか、むしろこれこそが、「カイゼン」の徹底的な実践の事例だと思います。
これ以外にも断片的にいろいろな事例が紹介されていましたが、結論としては、「時代の変化に合わせてモノづくりも変わらなければならない」ということのようです。
うーん、それは前からわかっているのだが、そこからもう一歩、何かないのだろうか。。。というのが感想です。
如何せん週刊誌に対して、それ以上の内容を求めるのは筋違いなのでしょうか。